小説
COC「VOID」HO2自機・潮がエオルゼアでミコッテになって過ごす話。ただの私得。該当シナリオ及びFF14暁月のフィナーレのネタバレはありませんが暁月エリアまでの地名が出ます。気になる方は閲覧をお控えください。
#CoC #FF14 #本城潮  #クロスオーバー
潮ッテオムニバス

どん、と全身に走る衝撃で意識が浮上する。次いでじんじんと響くような痛みが広がって身動きが取れなくなる。

(あれ?俺、センサー切ってたっけ?)

そもそも今どういう状況なんだ。
潮は困惑と共に目を開いた。……目を開いた?
潮は最新型のアンドロイドだ。状況を把握する際にはカメラが起動し、映像として周囲を捉えると同時に演算機能が稼働しデータとして物事を捉える。瞬きはするが所詮は人間としての模倣のため、する必要がない。

だから、本来何かを見るのに目を開くなんて行為はありえないのだ。それを己がやった事。周りを見ても状況がまるで分からない事。遮断出来ない痛みがあること。回るはずの思考が止まったままであること。その全てに潮は困惑した。

困惑したままだったから、眼前の驚異に意識が向かなった。本来、ありえない事なのに。

ぶん、と何かを振ったような音がして潮がそれに意識を向けた時には既にそれは振り下ろされようとしていた。

人間など優に超える巨躯は灰色で、極端に短い足とは対照的に振り上げられた腕はとても長い。頭の上に咲いている花の可憐さと、その顔に付いている牙の並んだ巨大な口がアンバランスで不気味さを強調していた。
それに向けられていたのは、明確な敵意で。

見上げたまま潮は固まった。何かしようと言う考えすら思いつけなかった。ああ、あれに打たれたら流石に壊れるな――そんなことを考えた。
振り下ろされた腕は、しかし身構える事すら出来なかった潮を襲うことはなかった。

ひらりと、視界に淡く桜色が靡く。

それと同時に灰色の巨躯がずしんと音を立てて地へ倒れ伏す。砂埃に咳き込んで、その事にまた困惑する。

「おにいさん〜大丈夫〜?」

そんな潮に、緊迫感も何も無い、間伸びた声がかけられた。
見れば、尻もちを付いている自分を見下ろすように少女が立っている。潮より随分小柄なその少女は、薄い桜色の変わったデザインの服を着ていた。先程見たのはこれか、と納得しながらも彼女を観察する。そして首をかしげるはめになった。
金髪に薄桃色のグラデーション。それだけ見ればそういうヘアカラーなのだろうかと思うだろう。事実潮も(人間とは事情は違うが)黒から紫という不思議な色合いの髪色をしている。だが、目を引いたのはそこではない。
本来人間の耳に当たる場所に、白い角が生えている。それだけではなく、同色の鱗が顔や手を覆っていた。更には腰くらいの場所からひょろりと鱗に覆われた尾が揺れていた。
更に両手で麗美な装飾の、しかしその体躯に対して大きすぎる斧を苦もなさげに持ち、不思議そうに潮を見ていた。

「? どうしたの〜?」
「あ、ああ。いや、何でもない」

流石に不躾に見過ぎたか。そう思って潮が目を逸らすと、少女は斧を背に背負いすいと手を差し出してきた。

「怪我とか大丈夫そうだねぇ。見えないところが痛かったら、アベルさんかフィオナさんに魔法で治してもらおっか。……でも、うーん。ちょっと埃っぽい? あっちに川があるから、そこで軽く顔とか洗ったほうがいいかも〜? 服もボロボロだし、イエロージャケットのおじさんたちに怪しまれちゃう」

なんだなんだ。知ってるけど普段聞かないような単語と全く知らない単語が同時に出てきたぞ。
目を白黒させる潮を、少女は問答無用で川へと引き摺っていった(比喩ではなく、本当に引きずられた)



がやがやと賑やかな、中世の日本を連想させるような都市内にある船着場に潮と少女はいた。

「……なあ、あの話って」
「うん〜。ウシオさん、私が拾ったから大事にするね〜」
「冗談じゃなかったかァ〜…」

にこにこと笑う少女に頭を抱える。ここに至るまで、あっという間だったというか長かったというか。何とも言えない気持ちになる。

まず、彼女の名前だがミツコと言うらしい。漢字は知らない、と言うよりわからない。漢字というものがあるのか、という問題まで遡る。と言うのも、話している内容はわかるし潮も当然の様に会話をしているのだが、あちこちにある看板を見ても知らない言語で書かれているのだ。それだけでかなり詰んでいる。

だが、それよりも潮を混乱の極みに突き落としたのは自分の状態だった。
まず、現在の潮はアンドロイドではない。それは痛覚がシャットアウトできないことと、ミツコに握られた手に彼女の手のひらにあるだろうマメの硬さと人肌が伝わって、ぞわりと何とも言えない感覚になったことで明確になった。そっと触れた自分の胸から響いた鼓動が決定的になり、今の潮は物ではなく人であると理解する。それだけならまだマシだったかもしれない。いや、マシではないのだが。
顔を洗って〜、とミツコに促されるまま近づいた川、その水面に映った自分の姿に絶句した。一応、人の形ではある。あるのだが、間違いなく余計なものがついていた。
ぴこぴこと、自分の頭で揺れる三角の細長い耳と、埃に塗れた毛長の尻尾。どちらも自分の感情で激しく蠢いている。と言うことは。

(……ねこじゃん!!!!)

猫人間になってしまったのだと自覚するには十分すぎる程の情報量で、演算機能のない頭はすぐにパンクした。固まった潮に、ミツコが不思議そうに覗き込んでくるのを視認して勢いよく彼女の肩を引っ掴む。結構乱暴だったのに彼女は微動だにしていなかったのが少し傷付いた。

「な、なあ!!ここってどこだ!?」
「ふぇ?ここ〜? えっとねえ、中央ラノシアだよ〜。オレンジが美味しいの〜」
「オレンジうまいのか。いいな……じゃなくて!!ラノシアってどこだ!?」
「??? ラノシアは、ラノシアだよ〜。あっちに行くとサマーフォード庄があって〜、あっちにいったらリムサ・ロミンサがあるの〜」
「さま…りむ……なんてなんて??」
「うんうん〜わかるよ〜リムサ・ロミンサって言いづらいし、覚えにくいよね〜。ラザハンとかウルダハみたいに、短くて覚えやすい名前にしたら良かったのにって思うよ〜」

ダメだ、会話の前提が噛み合ってない。はぁ、とため息をつきながら頭を抱えるとぐぅぅ、と音がする。発生源は潮の腹からだった。

「そうだ……腹って減るんだった……」
「大きな音だったねえ、お腹すいたの〜?」
「……多分」

そう答えた瞬間、視界がぐるりと回る。慌てるミツコの顔とどこか緊張感のない悲鳴にああ、俺って実は結構限界だったんだなぁと他人事のように考えて、そこで意識が途切れた。



潮が目を覚ましたのは、船の中だった。一瞬ここだどこ、と考えて自分が恐らく全く知らない場所に来たと言うことを思い出す。それはそれとしてなぜ船に? またしても変わった状況に困惑しているとすぐ近くにいたらしいミツコが顔の覗き込んできた。

「あ、おにいさん起きた〜。大丈夫〜?」
「あ、ああ……なあ、ここは? あの後どうなったんだ?」
「うん、その前におにいさんのお名前、知りたいな〜。呼び方わかんないんだもん」
「……悪い。本城潮だ」
「ホンジョウウシオ?ホンジョウさん?」
「潮でいい」
「ウシオさんが名前かぁ〜。なんだか、ドマの人みたいなお名前だねえ。私は、ミツコです。ミツコ・ハチヤ。お母さんがクガネ人で〜、お父さんがシャーレアン人の、デニールの遺烈郷生まれの遺烈郷育ちなの〜」

にこにことそう自己紹介をしてもらうものの、全く頭に入ってこない。それどころかまた知らない土地の話が出て目が回りそうになる。潮はそれらを聞くのを一旦やめて、今の状況だけをミツコに聞くことにした。

「みつこ、だな。で、今ってどうなってるんだ?」
「? どう?」
「ここ、船の中だよな?」
「ああ〜そうなの、そうなの!それお話しようと思っててぇ〜……その前にこれ、どうぞ〜」
「あ、どうも」

す、と差し出された串焼きを思わず手に取る。話を聞こうとすると「あの後二日間、寝てたんだよ〜。先に食べてね〜」と言われてしまってはそうするしかない。恐る恐る、串焼きを口にする。
最初に感じたのは旨味だった。何の肉かはわからないが、柔らかく焼き上げられたそれから肉汁が溢れ出しスパイスの香りと混ざって口いっぱいに広がる。暖かいのは彼女が気を遣ってできたてを用意してくれたからなのか温め直してくれたからなのか。そのまま崩れそうなトマトにもかぶりつけば熱されて増した甘みが口の中をリセットする。もう一つ赤いのはパプリカか。よく味わえば塩加減も程よく口の中からなくなってしまうのが勿体無い。
相方の作る料理もうまいと思っていたが、どうやら自分は今まで食事をちゃんとした意味で楽しめていなかったらしい。匂いという情報が追加されるだけでこうも化けるのかと感心した。
気がついたら二本あった串焼きはすぐになくなる。名残惜しそうな潮にミツコが小さく笑ったのが聞こえた。

「美味しかった?」
「……ああ、美味かった。ありがとう」
「よかったぁ〜、ウシオさんムーンキーパーだから好きかなぁと思って作ったの〜。確か、あなた達の伝統料理だって聞いたから〜」
「……そ、そうか……って、作った? 取ってきたじゃなくて??」
「そうなの〜。材料もあったしね〜。……あっ、そうそう。今だね〜。今はねえ、リムサ・ロミンサからクガネに向かってる船に乗ってるんだよ〜」
「……移動したのか」
「うん。アベルさんがねえ、ウシオさんに会いたいって言ってたから〜」

曰く、潮が気絶した後ミツコは彼女の属するグループの責任者に連絡を取ったらしい。その責任者がアベルという人物らしいことまでは理解した。
潮は自分の状況をミツコではなくアベルに話すと決める。彼女を信用できないわけではないのだが、いかんせん自分より子供なのだ。絵空事だと笑い飛ばされるなら理解はできるが鵜呑みにしてしまうと彼女のためにもならないだろう。ならば判断力がありそうな人に話をするべきだと、いつもより回らない頭でそうきめる。

そう決めた潮の耳に、ミツコのとんでもない言葉がとびこんできた。

「それでね〜、アベルさんに‘迷子拾ったの〜。飼ってい〜い〜?’って聞いたんだぁ。そしたらねえ、‘イイヨォ!!!’だってぇ! 良かったねえ〜。でもねえ、ルカさんが一回どんな人か見なきゃいけないから、連れてきてって言ってたの〜。会った日は経費で飲みや〜!って言ってた!」
「………」

……迷子は拾って飼うものじゃないだとか、そんな軽いノリで見ず知らずの男を連れ込む許可を出すなだとか、人をダシにして宴会するなだとか言いたいことが物凄くあるが、飲み込んでそうか、とだけ返す。
俺の判断、間違ってるかも。そんな一抹の不安を抱えながら二人を乗せた船は波に揺られていた。



クガネについてから、更に小舟に揺られる。そうしてたどりついたのはシロガネ冒険者住居区の小さな家だった。ミツコに手を引かれながらその建物へと入っていく。

「ただいま〜」
「あー!みっちゃんおかえり、おかえりー!」
「なっちゃんだぁ〜!ただいま〜、リュウさんと釣り、楽しかった〜?」
「楽しかったー!!あのねえ、めちゃくちゃでっっっっかいおしゃかなが……あれ? その人誰ー?」
「あ!そうだ! アベルさんいる?」
「いるよいるよー!下でお酒飲んでるよー」
「ありがと〜」
「どいたまして!」

ミツコと青髪の、自分と同じように耳と尾の生えた少女が楽しげに話しているのを聞きながら潮は俄かに顔を顰めた。来客があるのに酒を飲むのか、という呆れと果たしてそんな相手に荒唐無稽な話をしていいものか、と言う不安だ。

(……いつもなら、不安だったら感情切ってしまえるのにな)

少し不便に思いながらミツコに促されるまま建物の地下へと案内される。

さて、地下とは言うものの想像よりも何というか、ぬるい空気感が漂っていた。自分と同じ形の人や、明らかに頭身のおかしい小さな人、耳が尖った長身の人に最早獣に分類した方が良い人らしき存在が潮へ不躾に視線を投げかける。
そんな中、アベルという責任者の姿を捉えて思わず半歩ひいてしまった。

本棚の前に置かれた椅子にこしかけても潮の肩くらいの高さに頭がある。それだけで相当な巨躯を思わせた。
加えて潮を見る双眼は鮮やかな赤と、自分のメインボディと同じく白目の部分が黒い。客観的に見るとこうも不気味に感じるものなのかと思った。それに肌も髪も、抜けるように白い。光の加減では気味悪く映る。
更に、ミツコと同じ種類の人間なのだろう。彼にも角と鱗、尾が付いている。その色は肌色と対照的に真っ黒で照明を鈍く照らし返している。

「ウシオさん…で良いのか? アベル・ディアボロスだ。楽にしてくれ、面接とかそういう堅苦しいものではないから」

しかし聞こえてきた声が存外柔らかく穏やかで、潮は呆気にとられる。尻尾が動揺に反応してか、忙しなく揺れてしまう。その様子に苦笑しながら「見目はまあ、よく怖いと言われるから大丈夫だ」と彼は続けた。

「みっちゃんから大体のことは聞いた。何でも迷子だとか」
「……まあ、そう言う感じだな。……飼うって言われたんだが」
「あー……彼女、言葉の選びが独特だからな……保護したいって意味だったんだろう……多分」
「多分って……不安になるようなことを言わないでくれ」
「はは、すまない」

苦笑交じりにそう言ってくるアベルに潮は脱力した。なんと言うか、ペースが乱れるというか。けれどもこれはこれで悪くないような。

「所でウシオさんはどうしたいんだ? 元居た場所に戻りたいだろうが……住まいや自分の一族の事は何か話せるだろうか?」
「それは、そのだな……帰りたい場所はあるしどこかもわかるんだが…どうすればいいか検討もつかないんだ」

そこまで言って、潮は口籠った。どう切り出すべきか、そもそもこれをこの場で言っていいのか。人目もあるのに?

「ルカ」
「はいな。……ほーい全員仕事しいや~? ほれほれ、しゃきしゃき稼いで我らがマスターの酒代出したってや」
「は? ベルの酒代に消すくらいなら川に金捨てるわ」
「なんでェ!?!?」

部屋にいた人たちは、自分と同じ種族だろう訛りの強い男の発言に文句を言いつつ出ていく。人払いをしてくれたらしい。後には潮とアベル、訛りの強い男だけが残った。

「話を切って申し訳ない。人が多いと話しにくいかと勝手にしてしまったんだが」
「……いや、助かる。俺も人前でしていい話かどうか悩んだから」
「よかった。……ああ、彼はルカ・ミズミ。うちの経理件面白おじさんだ」
「紹介に預かりましたァ、面白おじさんことルカ・ミズミですゥ。よろしゅうね。あとベル坊話し終わったらど突かせろや」
「全力で迎え撃っていいか?」
「アホか。お前の全力とか俺消し飛ぶわボケ。……ほんでウシオはんですっけ? 事情、仔細伺ってもええやろか?」

アベルに言いたいことだけ言ったルカは潮に向き直る。色彩の異なる目が興味深そうに覗き込んできて居心地が悪い。
それでも、戻るためのきっかけでも掴めれば。そう思い潮は口を開く。

「俺もばからしいとは思うんだが、別の世界から来たっていう奴かもしれないんだ」

*

潮が一通り自分の身の上を語る。途中アンドロイドという存在についてルカがやたら食い気味に質問してきた以外は特に茶々を入れられず最後まで話し切った。
一息つくと、アベルは自分の顎を撫でながらルカを見る。彼は何を聞かれるのか察したのか、先ほどまでの気味悪い笑みを苦笑いに変えた。

「ルカ、今日ってじい様は?」
「ピクシー族にいたずらされてん。笑いながらあやつら全員一羽残らず羽毟ってやる言うて第一世界に飛んでったわ」
「何やってんだあのじじい!!」

いやほんと何やってんのあの人!! と頭を抱えて叫ぶアベルを見、きょとんとする潮にルカが肩をすくめる。

「結構な、君みたいなんが多いんよ、うち。更にそういうのに詳しい人がおるんやけど、今マジでしょーもない事情で留守にしとってなぁ」
「そ、そうなのか……? 珍しくないのか」
「いんや? 珍しいんは珍しいんよ。ただうちはそういうもんの遭遇率が異様に高いってだけや。ただ、ウシオはんみたいに元が機械やった存在は初めてやからなぁ」
「は、はぁ…」
「……詳しいわけではないんやけど、君、ニホンいう国はわかるん?」
「俺のいる国だ!」

知った単語に思わず食いついた潮にルカはそうかそうかぁ、とのんびり笑う。

「せやったら、いずれ戻れるやろ。どないなっとるかわからんけど、戻ったと思うたらこっちに帰ってきて~ってやつもおんねん。そことここ、壁のようなもんが緩いんやろうね」
「だったら、尚のこと早く戻りたい。残しておきたくない人がいるんだ」
「あんなぁ。世界超えるてひょんなことで出来てまう割に方法がまだ確立されとらんのやで? 焦って危険なことしてまうより少しでもええ方法選べるんやったら慌てんでええやろ」
「それは……そうだが」
「それになぁ。はよ戻りたいって思うくらいええ人おんねんやろ? 尚の事無事で帰らなあかん。その方法が今はのんびり構えるだけしかないなら、それでもええやん」

じい様帰ってくるまでのんびりここで過ごしてええと思うで? あの人おらんと俺らだけやとできることって限られとるし。

その言葉に何となく、目が覚めたような心地になった。
よくよく考えれば、元々そうだった。人間を守り手助けする側の存在だったから、自分の無事を顧みずとも、人間さえ生きていれば自分は直るのだから思考や演算に自分の安否をいれたことがなかったのだ。
そうだ。俺が壊れてたら伊智が悲しむ。いや、こちらでは『死ぬ』なんだろう。どちらにせよ、いい顔はしない。

「……で、ウシオさんはどうしたいんだ? 身元の保証が必要ならうちを利用してもらって構わない。みっちゃんが責任とって面倒見てくれるだろうし」
「冗談じゃなかったのか、それ」
「うちは元々こうだ。拾ってきたり、連れてきた奴が面倒をみる。俺が集まりの代表としてできるのは身元と、衣食住の約束だけだ」
「ちなみに、この世界のことを教えてもらえたりは」
「ああ、せやったらグブラ図書館かヌーメノン大書院連れてったるわ。俺本借りててん、ついでやし色々調べたらええ。元が機械なんやったら人間の生き方もようわからんのやろ?」
「……こちらの文字の読み書きが、できない。多分」
「「あぁ~」」

アベルとルカが口を揃えて苦笑いをする。聞けば、こちらに来た『同郷』たちも最初はそうだったという。その事情も含めて他のメンバーに口添えしてくれるとのことだった。
断る理由が、潮にはない。なのに、「助けてもらう」事実に対してこんなに後ろめたいのはアンドロイドの性なのだろうか。
潮がはっきり答えを出す前に、返事を待っていたアベルが口を開いた。

「……勿論、ただじゃない。同伴ありで、まだ大人だと認められていない子たちも働いているんだ。最低限の言語を覚えたら、この世界のことを学んでもらいながらウシオさんにも働いてもらう」
「……! それは、いい。こちらもその方がいい、というかただ助けてもらうのは嫌だ、俺は助ける側だから、だから、その……」
「なら問題ない。帰るまでは君のペースで、この世界で、沢山のことを聞いて、感じて、そのことに考えてながら生きてみればいいさ」

そして、少しだけ俺達の生きている世界を好きになってくれたら嬉しいと思う。
最後にグラスを傾けてから、柔く笑ってアベルは言った。

*

「あ!ウシオさん!」

地下から上がってきた潮にミツコが駆け寄っていく。

「ね、ね?アベルさん、ウシオさん飼っていい?」

開口一番あらゆる方面に誤解をうみそうな言葉を発したミツコにルカも潮もアベルも苦笑いする。

「みっちゃん、実は迷子は飼えないんだ。でもしばらくはここで一緒に過ごしてもらうことになったから、先輩として助けてあげて欲しい」
「え!? でもそれって、飼うってことだよね~?」
「いや、だから違」
「私ねえ、一度飼ってみたかったの~! おおきなねこちゃん!」

おおきなねこちゃん。総言い放ち眩しいまでの笑顔の彼女に、邪気はない。
その瞬間、これ本気だと潮の耳と尾が総毛立つ。アベルはミツコにニコラスと同種の匂いを嗅ぎつけた。ルカは半笑いでその光景を見ていた。
三者三様の有様にミツコは気付くことなくぎゅう、と潮の両手を握る。痛い。大変に痛い。

「大事にするねえ~。これからよろしくねぇ、ウシオさん~!」
「ア、アア、ウン、ハイ、ヨロシクオネガイシマス」

潮のカタコトの発言を鵜呑みにし、よ~しがんばるぞ~とミツコがそのまま手をぶんぶんと振る。
その様子をあまりに哀れに思ったのだろう。「ほんまやったらタダ働きなんぞごめんやねんけど…普通にかわいそうがすぎるんでなんかあったら言いや? 助けたるわ」とルカがこそりと耳打ちし、潮は勢いよく頷いた。こればかりはアンドロイドの性がどうこう言っていては、尊厳が破壊される気がしたので。

――そんな感じで、潮はミコッテ族としてしばらくそこで生きることになったのだった。畳む
日記
某アクティビティ顔文字さんところのてがろぐ更新履歴、やってみたいなーと思いつつ今のをいじくりまわしたら崩れるのでは…?と怯えるなどしている。

怯えるんですけどもやりてえよなァ!!!帰宅後やります。卓あるんで今日は寝ないっすよ!!
日記
昨日の自分があまりに怠惰。なぜなら作業をせずに寝たからです。
寝落ち?とか疲れてたんだよ、とか雨だったからとか言ってもらえると思っているので先に言います。

私は!!!!気分が変わって疲れてもなければ体調悪くもねえのに寝ることを選びましたァ!!!!!!

御心配には及びません。まーーーーーーーじでやるやる詐欺をかましただけです。不調どころか絶好調でした。なんかご飯食べたら昨日という日に満足してしまった。ただそれだけです。

満足した状態で取る睡眠ってめっちゃ気持ちよくない???私は気持ちいいし気分もいい。

反省してマース。
メモ
落書き投稿、画像小さ目で修正してるけどこれくらいでいいな…の気持ち。これなら横に並べたりもできるし

追記
落書きのを全部小さくしてみた!いい感じ〜
クリックorタップしたら大きくなる、でいいんだよ。スクショ置き場とかネタバレ置き場もそういう風にしよう〜
日記
私はあほなので二日間かけてクラフタージョブ4つとバトルジョブ1つをカンストさせました。

作業するって言った!!!!この蛸土日は作業と大掃除って言った!!!!!やってない!!!!!バカ!!!!!!!!!あほ!!!!!!!!!!
まあ休みの日の予定なんてね、卓以外は基本にゅるっと湧いて出るものですからね。このFF14の進捗は湧いて出たもの。ならばするしかなかろうよ。


所でこの土曜日ララフェルからメスッテになったんですけどやっぱりメスッテのモデリングはいいですね。なんぼでも眺められる。黒鼻ちゃんがあんなにかわいいぽやんとしか顔作れるなんておじさん知らなかったよ。個人的には上半身メスッテ下半身メスラシルエットララフェルだと思ってるので全部合体した種族来たら最高かあるいは混沌だと思うんですよね。嘘、混沌しかない。でもみたい、俺の欲張りセット。
そんな私の自機は本来アウラ・ゼラ男性なんですけども。あいつ今トラル大陸で酒飲み歩いてるから黄金中は行方不明になってるよ。国へ帰れ。
スクショは珍しく撮ったんですが上げるのを忘れているので今日忘れてなかったら上げますね。多分忘れますね…

日曜日の夜までひたすらレベリングした後にソードワールド2.5のキャラクリ回をしました。めちゃくちゃキャラクリ楽しいなソドワ。早くセッションしてみたい。できない間に何人増えるかな。

さて今夜はシビュラですよ。場合によっては今日が最終日ってマ?おそらく情緒が卓ロスで死にますので慰めてください。むせび泣きますよ!!!
日記
昨日は某ジーニアスキャンドルさんとhtmlについて勉強会した。大変有意義かつ楽しかったし意味わからん文字列に意味を見出したというか。

私の中でhtmlとCSSはマインクラフトであると紐づけされた。

マイクラやるど!!と自分で言ってゲームなのかhtmlなのかわからんなるな、と感づいた2024年、朝。
ふせったー
FF14 黄金のフィナーレ7.1 未クリア× 時間をおいてようやく冷静になったというか言語まとまったというか、いやまとまらねえよこんなん。ストーリーにおいてはネガティブな表現・攻撃的な表現しかしていません。

特大の地雷を踏み抜かれましたね…

いや、うん。世界は私を中心に回ってないのでそれはまあ仕方ないんだけども。
私親の都合で子供が生まれる・生み出されるっていうのが本当に大嫌いで。というのも親ガチャなんて言葉もあるくらい生まれた環境を覆すのって子供の時できなくて。本当は愛されたり甘えたりして感性育ててゆっくり人と繋がる前の力を蓄える期間に大人であることを仕方ないってされる描写を憎んですらいる。可哀そうよりも怒りに振り切れました。
ゾラージャの気持ちは7.0で見てきた。完全に理解はできないが、それでも行動原理としては納得できる。でもそれとこれとは全く別だよね?あとマムージャの女(名前言うのもキレに直結するのでこの表現でお許しください。まあ私のサイトなので私が許しましょう)、お前はふざけるな。お前だ、お前のせいでゾラージャもグルージャも決定的に傷ついた。お前がいなかったらグルージャは生まれなかっただろうけど、お前のその行動でどっちも傷つけた。傷ついた。自分の望みと恋慕に酔いしれて二人のこと傷つけてる。わかる、どうしても届かなかったものが目の前まで下りてきてたら手を伸ばすのは。でもお前、ゾラージャの内心を推し量ろうともしなかっただろ。子供が生まれたら変わってくれるなんて、そんな浅慮で愚かな考えだけで卵をもらったんだろ。
ふざけるな阿婆擦れが。お前の気持ちを理解したうえで私は私個人としてお前というキャラを認めない。
最初に、グルージャに、お前の気持ちをちゃんと言えよ。なんで欲しいものだけをいうんだよ。お前結局グルージャのこと見てなかった。理解しようともしてなかっただろ。そんな女からあなたの子供だもの、なんて気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。ああ怖気がする腸が煮えくり返る。星救ってよかった、って気持ち返せよ。お前みたいなのがいるせいでネズミ算式に心が傷つく命が増えるんだ。
巻き込むわけにはいかないって、おいていった場所も考えろよ。廃棄場だぞ?位置が近いとかそういう理屈があったとして、お前グルージャを否定されておいていく場所に選んだのが廃棄場なんだぞ?それがお前の本音だろうが。愛してたような風を装うなよ吐き気がする。お前が死んでくれてよかったああ本当によかったよ。生きてるなら殺しに行ってた。光の戦士とかこの大陸じゃあ言われないからな。でも死んだ描写がなかったな?次出てきたら一個人として殺してやるよ。そう思うくらい私はお前を肯定しない。出てきたとしてもああよかったな、なんて思えるはずもない。生還ルートがあったとして、ストーリーはああよかったな、で進むんだろうけど。私だけはお前を許さない。この女の行動を肯定されたうえで罷り通ってなんて欲しくない。というか出てこないでほしい、お前がいるだけでグルージャは心がえぐられるんだ。
と言っても1ユーザーに過ぎない私がどれだけ吠えたって、このストーリーがFF14の物語で、今後何かの根幹になるんだ。でも、願わくばこんな流れは作ってほしくないとすら思う。思うだけなら自由だろ?

コーナとの対比を作りたかったんだろうし、現実でもこういうことは悲しいかなあるんだよ。わかる。わかるけど許せない。つまらないとか作品としてどうなの?じゃない。これは純粋にPLとしてではなく私個人として絶対に許せない。なので面白い・面白くないではなくて楽しめなかった。

グルージャ、本当に強いね。そんなグルージャを無理やり子供に戻そうとしなかった暁メンツもありがとう。今子供に戻っちゃったら、グルージャきっとこの先生きていく先全部悲観しか映らないところだった。子ども扱いをしないことで知れてよかった、って気持ちを否定しないでくれたことにもつながるじゃないか。
でもグルージャをね、抱きしめたくなった。ラマチが抱きしめてくれたからよかった。ありがとうラマチ、私ラマチが王になるまで見届けられて本当によかったよ。あんたちゃんとグルージャの家族になれてるよ。

次のパッチでさ、グルージャがもっと笑ってくれたらいいな。

え?新IDですか?めちゃくちゃ楽しかったです詠唱する時間一生ないんですけど!!!!タンクで行っても誘導先わかんないんですけどwwwwwwwwwwでもあれくらいわちゃわちゃしてる方が好きかも。最近のは様子をみて~~でちょっと我慢タイムの長いギミックが多かったので、脳死反射でだばだばするのめっちゃ楽しかったwwwまた行きたいな、ここエキルレはいるもんな。すげえ楽しい、毎回ここでいい。
……ここで楽しませてもらったからこの後のストーリーはマジで楽しめない、になったな…(´・ω・`)畳む

#FF14 #ネタバレ
日記
シビュラがさあ!!!!次でさあ!!!!最終回(仮)でさあ!!!!やだぁ~~~~~~~~~~!!!!!!ってなってる。100d100日シビュラさせろ。クレイくんのフードにありったけのナイフ詰めてすずぱいのデカ乳に現ナマねじ込んで天童ちゃんにおにぎり5000兆個上げるんだあああああああああああああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!どけ!!!!!!!!!!俺は刀木イヴリン!!!!!!!!!!!!!同卓に赤スパする妖怪ッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!止めれると思ってんじゃね~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

いや、はい。まじめな話もっと同卓とお話がしたいし遊びたい…終わりたくねえ…終わりたくねえよ…赤スパしたりないんだよこっちはよ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!ねじ込まれろマジで。

全員かわいいのですべてが終わったら感想にて自慢し倒します。でも終わらないでほしいから一生したためられない。そういう意味でめちゃくちゃになっている。
日記
最近冷え込んできたーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!ってはしゃいで喜んでたのに自室だけが常夏。俺は暑いのが嫌いだ。デブ故に。

以下メッセージお返事。
一般通過まや子さん
お返事はね、します。嬉しかったからね~~~~~~~~!!!!(宴)
実はね、落書きはその日の記事に描いた分だけ追記していくスタイル!なので最初に見たけどない、と思ったら同じ記事を見るといたりします。別々の記事で一枚ずつ上げようかなとも思ったけど追記の方が記事増えすぎないかなと思って。ハッシュタグも一緒に追記して増えていくのでそれ使うと見つけやすいかもしれない。
ぶるすこくんに切り分けたケーキのごとく何か乗せてたらこっちに全体は確実に載せるようにしてます!見てもらえて感謝。畳む
日記
あの。。。。。。。。。。あとでいいんで。。。。。。。。。。。。。。。FF14のふせをしたためても。。。。。。。。。。。。。。いいですか。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。あの。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。おいつかない。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。こころが。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
日記
今日は絶対に絵を描く。

・シビュラの秘匿ネタ
・刀木のらくがき
・潮のらくがき
・刀木の差分

描きかけて下書きのあるこれらを先に倒す描くど
メモ
待たせたな!!吹き飛んでしまったおすすめお手軽レシピを載せて行くぜ!!


塩昆布×枝豆おにぎり!!冷凍⇒解凍をしてもうまみがすごい!ぺろりといきな!
他のおにぎりもあるけどまだ試してないから試したいねー!


私が崇拝し狂信する某のんだくれ料理研究家様のたまごサンド。中身だけで酒飲めるはマジ。酒飲みながら作るんや!!


えみやご飯は漫画じゃねえレシピ本だ!これはありがたくも動画にしてもらっているバージョン。文字や写真だけじゃわからない、動画は一瞬で止めたりするのがめんどくさい。そんな貴方は漫画です。漫画を読みながら唐揚げを作ろう!普通に引火して危ないからコンロから離れたところに開いておくんだぞ。


ついでに昨日作ったハンバーグ。何度かこのレシピで作ってるけど本当に失敗しにくい。生焼けとか怖いよね、煮込めば問題ねえんだよ。それを教えてくれるレシピ。下手な日本語よりも聞き取りやすい。

作ったものがあったら適宜メモしていきます。簡単なものは積極的にリピすればいいのだ。
日記
昨日書くと言って書きそこねてたので今書きます。故に三日坊主カウントノーカンです。

献血に行ったんすよ。成分献血って言う、血を採ってから必要な成分だけをとって残りの血を返すっていう。なんか前やったことあるのに記録に残ってないとかで初めてする人の扱いを受けました。あれ気のせいだったんだろうか……
何はともあれ復習のつもりで話聞いて、いざ採血って時に血管細くて敗れちゃって、中止に。まあ確かに痛かったけどめっちゃ痛かったわけでもないので自分的にはこんなこともあるんやなぁ、程度に思ってたんですが担当してくれた人総出で謝られなんか申し訳なくなったなと。まあ他人の人体傷ついた事実はあるもんな…なんかほんとすんませんって気持ち。

というわけで血管太くする方法ゆるぼ。俺は担当さんを謝らせない血液提供者になるど。

やっぱり肥満はいかんのだろうか…好きでデブやってんだけどな…

以下長文なので折りたたみ

でも割と献血センターが自宅から遠いので、ただ帰るだけなのももったいない。ということで。
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行ってきました。みえむの刀剣展示。刀剣乱舞のコラボ展示です。
地元で何かのコラボをするっていう景色が初めてだったので前から見に行きたいなとは思ってたんですね。ただやっぱり距離がかなりあったり開館時間が噛み合わなくて仕事帰りに行くとかもできなくて。あーこれ見送りかなぁと思ってたので渡りに船でした。

目的は村正。とうらぶで刀剣に興味があったものの、見に行く機会もなくキャラとして愛でたりしてたんですよ。
というのも私歴史は世界史のが好き(この好きもかなりにわか)で日本史は戦国時代以外はからっきし(幕末はむしろ嫌いでした。なんでや)だし、当然どの刀が日本のどこで作られ使われ収められたとか一ミリも知らなかったんですよ。どちらかというとミリタリーのが好きで。ただTRPGとかで個人が握る武器の最高峰って銃に並んで刀じゃないですか。なら資料として見に行くしかないなと思ったのと、

三重県、刀匠いたんだな……(驚愕)

という感想を抱えて行きました。なんだひたすら赤福と魚のすり身こねてたわけじゃないのか…。うまし国とか言われてるので食べ物関係しかないんかなと思ってましたね。

結論から言うと行ってすごくよかった。
正直鉄の板を問で刃物にしてるという印象しかなかったんですけど、刀作るのって滅茶苦茶手間も時間も神経も使ってるんだなって知らなかった。(とうらぶの鍛刀画面はあったけど、それはゲームでの表現だよねと思っていたので)それを、成果物を現物として見れた。すごいんですよ刀、鏡面磨きとか工程になかったよね???と工程の展示と展示物の間を行ったり来たりして見直すくらいにはすごく反射してて、あとは切れる方の刃紋ですっけ。あれ全部違うんですね、狙って入れたりしてたんかな。そうだったらもうバケモンだよ刀匠と呼ばれる人間。そんな人がが今も三重県にも居たのがもうほんと一番の驚きだった。

今は美術品だけど、この美しい作品が人を切って血を纏わせてた時代があったと思うと感慨深い。人を殺す道具が人に魅せる作品になっていった事実に少なからず感動しました。
だって、沢山語られない話があったでしょう。歴史に名を刻む名刀にも、折れて川に沈んだり後世の戦争へ別の形になっていった無銘刀にも。言い方悪いけどただの鉄の塊だぞ?鉄の塊が打たれて、人の一生やその時代に刻まれて刻み込んで。命を奪ったり誰かに渡ってどんどん鉄の塊から作品や資料や、別の何かになっていってる。
もう見られない「かつて」を現代まで連れてきてくれるものが刀なんだなって。
静かに飾られて佇んでる刀たちに思わずおつかれさま、って言いたくなった。

ただの余談です。地元嫌いなんですけど捨てたもんじゃねえなとも思えたので、そういう意味でも行けてよかったしコラボしてくれてありがとうという気持ち。

まあこのあと私は基本展示のマッコウクジラの骨格標本(等身大)を見に行って大はしゃぎしたんですけども。

お土産たち。
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今回の刀剣とは関係ないもののが多いですね。目に付いたから買ったバードシール(ぷっくりしててラメ多くて可愛かった)に、これまた前から欲しかった透明標本のキーホルダー。鉱石があったら買うだろJKと言わんばかりに手を出しましたアンモナイトの化石と琥白玖のルース。あとはとうらぶコラボの千子村正のマグネットと刀剣の根付。
刀剣の根付は同田貫正国と明石国行です。これちょっと物申したい、村正プッシュしてるくせに売店で村正置いてなかったんですよ!在庫確保するか出してよせめて!村正に感動させてもらったのに!
まあそれはむちゃぶりなのはわかっています。ないことがわかった瞬間何のためらいもなく推しを買いました。キャラデザ最高なんだよあのふたり。ありがとう(四方八方感謝丸)

本当はお酒とか買いたかったんですけど、買ったら運転しながら飲みそうなので(過去一度ジュースと間違えてやりかけた。やってはない。ホントダヨ)泣く泣く諦め。一番の心残りは資料集が置いてなかったこと。一番の目当てだったので売店に置いてなかったので…悲しかったです……もしかしたら上手く探せなかっただけかもしれないのでもう一度資料集チャレンジしたいですね。その前に在庫があるか確認の電話したほうがいいかなこれ。

みえむさんの刀剣コラボ展示は12月1日までになってます。興味あったら行ってみたらいいんじゃないかな?三重県ゆかりの刀剣だけなのでさっと見て回れるし山椒魚がいます。
三重県総合博物館MieMu『刀剣乱舞ONLINE』コラボ特設ページ』

ほな村正育ててくるか。畳む
日記
最近左手小指が動かしにくくてQAZが押しにくい。ついでに右手薬指も動かしにくくてOL。が押しにくい

不調とかでなく純粋な衰えだと思う。ちょっと指のマッサージとか諸々再開しようかな。
メモ
・今日は絶対にチルタイムを設ける(ポケポケを起動するな)
・シビュラ前にできるサルベージはしっかりやる
・卓後は速やかに寝る。ふせしたためは明日やれ

体調がね、ちょっと良くない。睡眠不足故のしんどさを感じている。献血があるから土曜日まではこれを厳守する。朝活も続けたいしねー
日記
朝からぶるすこくんで長文をしたためてしまったためこっちに書くことないなったな……楽しくオンラインするために見知らぬ相手への言葉遣いもっと考えようぜJapaneseって言うのが今朝一番の本音ですかね

寝起きに暴言見かけたわいも悪いけども…自衛力が足りんかったなぁ…自衛しすぎると情弱になるしで塩梅が難しい。その手の立ち回りが異様にへたくそ故に(´・ω・`)
日記
やるべきことの優先順位がちょーーーーと変わってきたな……そして急いでやる必要も出てきたな……

さらに恐ろしいことに今週が終わると11月半分過ぎるんだよな………
小説
CoC「庭師は何を口遊む」「紫陽花栽培キット」ネタバレ有り。いつかの日の話。
#CoC #ネタバレ #庭師
止まりそうになる足を叱咤して歩を進める。周りにはスーツ姿の人間が男女関係なく忙しそうに行き交い、その風景に懐かしさが少しと気まずさが大半、心を占める。何人かは見たことのある人間だったが、どうやら自分には気づいていないらしい。何人かはちらちらと視線を向けるが、それどころではないらしい。すぐに前を向いたり、通話中の携帯端末に意識を向けている。

(案外、スーツ着てればわからないもんなんだな)

鯨伏はそんな光景を、少しずれた思考で見ながら歩いていた。かつて、零課で着ていた服装で署の敷地内を歩く。今日こそは目的の人を見つけなければ。これ以上長引いたら戻りたくなくなってしまう。あの居心地のいい家で、最高という言葉すら足りない友人と過ごす日々に甘えて終わってしまう。

だから、今日は注意されるまで粘る。気まずさだとか、怯える心だとかそんなものはかつて逃げ出したことのツケなのだ。精算しきれるとは到底思えはしないのだが。

そんなことを考えながら、ふと視線をあげて鯨伏は駆け出した。いた、いた!と心が叫ぶ。長身が突然動いたものだからその場にいた数人、もちろん鯨伏が探していた人物も。
しっかりと、視線が合う。その表情が驚愕に染まる。

「い、鯨伏!?」
「――ご無沙汰してます、猪狩さん」

鑑識の猪狩幸太郎に軽く頭を下げた。

*

話がしたいんです。割と大事かも知れない話を。そう鯨伏が猪狩を喫茶店へ誘った。丁度午後から非番だったから、と猪狩もその様子を茶化すことなくついてきてくれる。

チェーン店ではなく個人経営の、閑古鳥が鳴いているようなそんな店。取り敢えず珈琲を頼み、テーブル席で向かい合って座る。からん、とアイスコーヒーに入れられた氷が溶けてグラスの中身を緩くかき混ぜる。そんな様子を見ながら鯨伏は黙り込んでいた。

(……なにから はなし すれば いい? これぇ……!?)

顔面こそ真面目で、そして目を伏せて居る鯨伏だがその脳内は大パニックだった。勇んで来て、神童か猪狩かを探し、ようやく対面でき話をする絶好のチャンスなのに肝心の何を話すかを全く考えていなかったのだ。とにかく動かなければ、早く戻りたいから、戻れなくなる前に。その気持ちだけが早って相手に何を伝え、聞くかを本当に全然考えていなかったのだ。
そんな鯨伏に気付いてか、はたまたグラスに水滴が付いてしまうほどの時間を待たされたことにじれてなのか。先に口を開いたのは猪狩の方だった。

「アンタ、今何してんの?アンタのとこのチーフから鯨伏のことは長期の休職扱いにしてくれって言われたんだけど」
「……」
「退職届、出したんだって?ゼロ全員が謹慎中……あれか、スマホわすれたつって俺とあった時?」
「うぐ」

思わず呻く。そうだった。俺この人に嘘付いたんだった。忘れていた事に対する嫌悪感と罪悪感が腹の底で渦巻く。でも、これは自分でやったことだからと飲み込んで頭を下げる。

「嘘、ついてすいませ」
「で、いつ戻るの?」
「へ?」

鯨伏の謝罪を遮って、猪狩が問いかける。一瞬何を言われたのかわからなくて間抜けた顔で彼を見上げると猪狩もまた不思議そうに鯨伏を見ていた。

「だってその格好で署に来てた、ってことは戻ってくるんだろ?」
「え、あ、その」
「違うの? え、マジで辞めるつもり?」
「い、いや!ちが、違います!戻ります、戻りたいです!!」

え、嘘……俺の読み外れた……!? と大げさに口元を手で覆う猪狩に鯨伏が慌てて前のめりにそう叫ぶ。喫茶店のマスターが迷惑そうに二人を見た。その視線に苦笑いしながら頭を下げて、鯨伏は姿勢を戻す。

「……戻りたいんですけど、その前に狗噛さんには話をしたくて」
「? じゃあ電話でもなんでもして本人呼び出せばよかったじゃん。なんで直で来てんの?」
「前の携帯……解約して……皆の番号諸々無くしまして……」
「………アンタ、バカ?」
「返す言葉もないです、うっす」

しどろもどろにそう返す鯨伏に、猪狩がはぁーーーーーーー、と大げさなくらいにため息を着く。大体おおよそわかったぞ、という表情になったが怯みそうになる己に内心で激励し、鯨伏は言葉を続けた。

「その、零課のみんなに会う前に神童さんか猪狩さんに話しておきたいことがあって」
「何? 番号だったら普通に教えるけど流石に出戻りの仲介までは俺やらないよ? 多分、アンタが自分でしたいからこうやって来たんだろうし」
「はい、それはちゃんと自分で言います。番号もお言葉に甘えて教えて欲しい……ただ、ひとつ調べて欲しいことがあって」
「調べる?何を?」

訝しむ猪狩の目の前で、鯨伏はシャツのボタンと袖口のボタンをひとつずつ外す。その行動に不可解だ、と視線を向けていた猪狩が目を見張る。息を呑む音がする。はらりと、何かが机に落ちる音がする。
鯨伏の耳後ろから首筋を伝い、先程広げたシャツの襟から。緩められた袖口の隙間から鮮やかに紫陽花が咲き誇っていた。人の身体にしっかりと根を張り、瑞々しく咲くそれに言葉を失った猪狩が口をはくはくとさせている。

「……これを、的場のものと同じか調べて欲しいんです」
「え、は? そ、それはいいけど、なんなの、それ……」
「荒唐無稽な話ですけど、聞きます?」

狼狽えながらも鯨伏の状態が気になったのだろう、猪狩が頷く。その反応に目を伏せて口を開く。
思い返すのは、弱っていた紫陽花を見つけたこと。何日かかけて世話をしたこと。それが幼い少女になって、取り込まれそうになったこと――取り込まれそうになっている間、確かに幸せだったこと。
鯨伏は隠し事も嘘も得意ではない。だから包み隠さず全てを話した。傍から聞いていれば荒唐無稽ではすまない、気違いの人間の話に聞こえるだろう。だが、鯨伏は目の前で咲かせてみせたのだ。彼女であった花を。
呆気に取られたままの猪狩が、呆然としたまま言葉を吐く。

「……同じのかどうか調べて、どうすんの?」
「内容次第で、零課に戻ったときみんなに黙っておくか全部言うかを決めます。だって嫌でしょう? あ庭師事件を彷彿させるものがくっついてる奴が居るなんて」
「や、まあ……そりゃそうかもだけどさ……でも黙ってなくても、ゼロなら……あの人たちなら受け入れてくれるっしょ?」
「俺が嫌なんですよ。皆の目に『庭師』の時の色が混ざるのが」

その色は驚愕だった。失望だった。恐怖だった。嫌悪だった。――絶望、だった。

当然、その色は自分にもあった。それに押しつぶされて逃げ出した。今は大丈夫だと支えて待ってくれると言った人が居るし、遠い届かないところから背中を押してくれた存在にも出会って自分は進もうと思えたけれど、他の三人がどうかなんて、鯨伏には推し量れない。

「もう、傷付けたくないんですよ。玲央さ……獅子王さんから家族を奪っておいて今更何をと思うけど。でも、痛い思いも苦しい思いも、寂しい思いだってしなくて済むならそれでいいじゃないですか」
「アンタはそれでいいワケ?一人で背負い込むつもり?結構しんどいと思うんだけど」
「いやいや、背負い込むなんてそんな大層なことできないですよ。物理的な現象で何かあった時に一番前で暴れるくらいしか俺できないですし。でもこれを黙っておくのは、皆に庭師のことを思い出させたくないのと同じくらいに俺にとって忘れたくない大切なことだから。あの子の言葉に救われて。あの存在に祝福されて。その上で全部切って捨てた。それごと全部持って行くと決めたから」

かれてしまっても きっとずっと あなたがだいすきよ

この言葉を忘れたことなんて一度もない。もういないけれども、自分と一緒に咲いている。彼女も自分の背中を押してくれた存在のひとつだって思っている。だから、彼らが嫌がるならとこの身に咲いた花を切り落とそうだなんてもう思えなかった。
なら、自分ができることは彼女も彼も、彼らも全部連れて行くことくらいで。どこまでも止まらず進むことだけなのだ。

「クサいかもですけど……腹は括ったんです。今度はもう逃げない、って」
「……はー!マジでクサい!!すんげえ真面目な話じゃんそれ!!内容なんて想像の斜め上どころかど垂直!!真上すぎ!!」

苦笑する鯨伏にもう限界! と言わんばかりに猪狩が頭を抱えて天を仰いだ。すいません、と呟く鯨伏の紫陽花咲く手を引っつかみ、丁寧に摘み取る。

「どう? 痛くない?」
「……引っ張られると少し。あと刃物で切られる時はちょっと嫌な感じがします」
「神経はちょっと通ってる、ね。血……はもう平気?」
「自分のは平気ですよ。というか俺、涼さんの事件より前はスプラッタ平気でしたし」
「おっけ、じゃあちょっと血と、花の根の周りの皮膚も少し頂戴。もしかしたら追加で唾液とかも貰うかもだけど、まあ皮膚片と血液あれば十分っしょ。仕事の合間になるから時間はかかるけど結果出たら連絡する……から!!スマホ貸して!!ゼロと俺と神童ちゃんの連絡先いれといちゃる!」
「ありがとうございます」

そう言ってまだ新しい端末を猪狩に渡す。あれやこれやといじっている間にもうデータを移し終えたのだろう、鯨伏のスマートフォンを渡しながら猪狩は聞いてきた。

「もし的場ちゃんと同じだったらどうするの?」
「どうもしませんよ。ただちょっと、ざまあみろって思うだけで」
「どゆこと?」

猪狩が意味がわからない、と首をかしげる。その表情を見て鯨伏は口の端を釣り上げて獰猛に、子供のように得意げに、笑う。
きっと、こんなに歪んだ理由で笑うのなんて初めてだ。きっと人からは嫌な顔をされると思うから。

嫌われたくなくて。
ここにいていい理由が欲しくて。
欲しいけれども怖くて言い出せなくて。
奪ってしまった事実が恐ろしくて。
何もないと思い込んでいて、だから余計に手を伸ばせなくて。
『いい子』でいなきゃと、大人になった今ですら思い込んでて。

それらを全部噛み砕く。飲み込む。腹の中でどす黒く混ざり合って重く響く。いい感覚ではないのに、抱えて行けると根拠なく思った。

「死んでからしか咲けない的場より、生きたまま咲ける俺のが綺麗だろ、ってこと!」

――後に猪狩幸太郎はこう思ったらしい。
『あいつ、あんなに開き直ったこと言う奴だったっけ?』と。

*

後日、猪狩から連絡があった。鯨伏の紫陽花と相模原、泉、南から検出された花は類似しているという結果。だが、こうも続いていた。

『確かに性質はよく似てると思う。俺は専門じゃないけど。ただ、なんというかアンタの紫陽花はもう少し人間に近い組織を持ってたからもしかしたら独自に進化したのかも。全く同じもんじゃなかったよ』

『まあそれはそれとして、ちゃんと話して折り合い付いたら帰ってこいよ! 俺四人揃ったゼロ、そろそろちゃんと見たいんだから!』

雨の続く、そんな夜に届いたメッセージだった。畳む
小説
CoC「庭師は何を口遊む」ネタバレ有 後日談
#CoC #鯨伏琥白玖 #庭師 #ネタバレ
幻は解け、メッキは剥げた

幼少の頃の記憶は、実はない。琥白玖の記憶の始まりは親戚の心配そうな顔だった。琥白玖くん、大丈夫? 痛いところはない? その言葉に曖昧に頷いたのが、最初。

詳しく聞いたことはないが、どうやら親がハズレだったらしいというのは生きていく内に察しは付いた。親戚たちに聞けば揃って口を閉ざし目を逸らす。ああ、自分は愛されていなかったのかと漠然と思った。
だからだろうか、自分を引き取った親戚には勿論関係者の手伝いをした。そうすれば褒められた。褒められるのは純粋に嬉しい。必要でここにいてもいいのだと、安心した。

それは通い始めた学校でもそうだった。小学生の時も、中学生の時も、高校生の時も先生は勿論先輩の手伝いもして後輩の手助けもした。惚れていた女子はとりわけ気にかけた。同級生には不評だったが、彼らにも同じように施せば意見が変わった。

そうやって自分で作り上げた「いい子」のレッテルは、琥白玖を守った。時折身動きを取れないような、不快感を伴うなにかを感じたが見ないふりをした。褒めて、必要として。それだけが欲しくて誰かを助け続けた。隣で笑う少女が好きで。ありがとうと言う言葉が好きで。お前がいないと困ると言う言葉が好きで。けれども、自分で望んだそれを受け止めるたびに乾いていく。飢えていく。おかしいな、欲しいものは手に入っているのに。

やがて琥白玖は警察官になった。彼女の父親が警察官だったのだ。彼の真似をすれば、彼女にもっと好きになってもらえるかもしれない。だからまずはそれを目指した。警察官になっても琥白玖は変わらず誰かの手伝いをしていたように思う。いい奴、と言う太鼓判ももらえて、安泰だと思っていた。

それを、自分で引き金を引いて壊して、壊れていくさまを見ていた。

*

ふっと意識が浮上する。ここ最近でやっと見慣れ始めた天井だった。琥白玖はゆっくり瞬きをする。しかし起き上がろうとしない。少し身じろいだだけで、安物のソファはぎしと悲鳴を上げた。
『庭師』の一件から、厳密には辞表を出して零課から逃げ出して少ししか立っていないのにもう何年も前のような気がする。ただ、気がするだけだ。現に溢れそうになる万感には蓋をして直視しないようにしている。向き合ってしまえば、自分が壊れる気がして。

住まいを警視庁から遠く離れた場所に変えて携帯を変えて誰からの連絡も来ないように投げ捨てた。自分から捨ててきたのだ、誰も探しはしないだろう。死んでしまおうかとも思った。けど、的場の抱えた同じ種類の狂気を抱えたまま死にたくなかったし、死ぬのは怖い。それすらできない。
取り敢えず生きるだけ、を繰り返している。

貯金を少しずつ切り崩しながら今日することを考える。何もしていないよりはましで、日雇いのバイトはしていた。仕事中は楽だった、仕事のことだけを考えていればいい。身体を動かしていれば時間はすぎる。先輩にあたる中年の男が自分になにか言った気がするが聞こえない。
家に変えると必要最低限の家具とスミスマシンがぽつんと並んでいる。捨てようと思ったのだが処理が面倒で持ってきた。もうやる必要もないのに気がついたら使っている。身体を動かしていれば時間はすぎるから、問題はない。

眠る前が、一番辛かった。その日にあったことと過去のことを比べて、あの場所が恋しいと心が泣く。零課で、楽しかったこととメンツの顔を思い浮かべて虚しくなる。

早く、はやく切り捨てて生きることだけを考えたかった。これ以上のことは抱えたくなかった。誰とも関わりたくなかった。そのくせ寂しくて、探して欲しくて、戻りたいと騒ぎそうになる自分がいることを感じて嫌悪する。

気持ちが悪くて、嫌いで、疎ましくて。
でも嫌われたくなくて、軽蔑されたくなくて、自分もそこにいたかった。
いられる訳も、ないのにだ。本当に滑稽で嫌になる。

琥白玖を苛むように過去の夢を、子供のころの夢と零課にいた時の楽しかった時だけの夢を見る。
狗噛、獅子王、神宮寺。泉、相模原、猪狩、神童――的場。
まだ壊れていない理想がそこにはあって、目が覚めるたびもうないことを思い知る。なんで目が覚めるんだ。あのまま、あのまま眠っていればあそこにずっといられたのにと何度頭を掻き毟ったか。

起きた頭で繰り返されるのは相模原だと思っていた、自分が殺した南玲子の死体。神宮寺が打ち抜いた相模原の遺体。自分が殺したと知っても前に立った狗噛、家族を奪われていた事実を知ったその後も随伴した獅子王。彼らに、煽りとも取れる言葉を投げつける恍惚と笑う的場。そういえば、彼の言葉の中に自分に当てたものは無かったと気付いた。気付いてああ、自分は視野にすら入れてもらえていなかったのかと知った。

誰かの中に、残りたかった。いてもいいよと無条件に、いい子じゃなくても言って欲しかった。でも。

煽りでもよかった、一時は信頼した彼から自分に向けたものがなかったのが全てだった。
もう嫌われているに決まっているだろう、この役立たず。

そんな声が聞こえて、顔を上げる。たまたま映った鏡に自分の顔が写る。今にも癇癪を起こしそうな顔が見えた。笑顔は、絶やさないようにしていたのに。

いっそ、全力で誰かを傷つけてやろうか。誰かを守るなんて口実もないまま、自分のためだけに。あの時も自分のためだけに引き金を引いたけど、今度は何もないまま。

そんな度胸もないくせに。子供の声が、琥白玖の脳で囀って響く。がり、と自分の腕に爪を立ててうずくまって、ぐるぐると考えては行き場のない衝動も欲求も恐怖も不安も哀愁もごちゃまぜに混ぜ込んで吐きそうになりながら飲み込んだ。

建前すら持てない惨めな男がそこにいた。そこに「いい子」は、いなかった。畳む
小説
探索者のわやわや。ネタバレ等はありません。
#CoC #探索者 #小噺
金の星、灰の猫

「……」

ニコルは唖然としながら目の前のイギリス人の女を見ていた。凄い勢いで消えていくスイーツ。文字通り山を成していたそれを口に入れては美味しそうに咀嚼する様子に最早吐き気さえ覚えている。ニコルの手にしていたサンドイッチは幾分か前に食べることを放棄されていた。

『? ニコル、食べないの?』
『アンタが食べてるの見てたらもういいってなっちまったんだよ、ベアトリーチェ』

言いたいことは万も億もあるが、何とか抑えてそれだけ返事する。目の前のイギリス女改めベアトリーチェはじゃあ私にくださいと、ニコルが話すのとは異なる英語でそう答えた。



ニコルが日本へ入国し方々を回っていた時のことだった。道に迷ったニコルは目の前に薄汚れた金色の布を拾った。拾った、というかついてきたと言うべきだとはニコル談ではあるのだが、どうも拾われた側はそうは思っていないらしい。

小汚い布は、ベアトリーチェと名乗った。うっすらと黄色み掛かった、白にすら見える淡い波打つ髪を豪快に絡ませて鳥の巣を作っていたのを苦心しながら解いてやれば目の前の女はすぐにニコルに懐いた。財布を落として行き倒れていた彼女にこれっきりだと食事を奢ったのだが、その後は何をしてもついてきていた。何度か本気で撒いたにも関わらず気付けばニコルの行く先々に彼女の頭がひょっこり現れる。その度ニコルは肝を冷やしていた。

当然何か目的があるのか、と問い詰めたこともある。ニコルは住んでいた場所が場所だけに用心深かった。しかし疑われているベアトリーチェと言えば本当に何も企んでおらず、おそらく自分以外の外国人が珍しく、また助けてもらったからと言う理由で付いて回っているだけらしい。疑うだけ無駄だ、とニコルは色々諦めた。

『あ!ニコル見て、カエル!日本のカエルは小さくてかわいいわ!』
『へーへー、そうかい。腹の足しになら無さそうだな』
『食べない!なんてこと言うの!』

あちこちで見るなんの変哲もないものに一々騒ぐベアトリーチェをニコルが適当にあしらう。そうしただけベアトリーチェがうるさくなるもんだからいよいよニコルもムキになって言い返す。ベアトリーチェは楽しそうにそれに乗る。疲れてしまう結果は不本意にも一緒に過ごした数日で分かっているのに相手をするあたしもあたしだな、とニコルは自分にため息をついた。



ニコルがぱ、と目を開けたのはほとんどの建物から光が消えた夜更けだった。山奥に借りたコテージの中を何かを物色しているような音が響く。物盗りか、と警戒しながら横目で見るとベアトリーチェが自分の荷物を漁っていた。ニコルのカバンならば取り押さえてやるつもりだったがそうじゃない。

ならこんな夜更けにこいつは何を?気になったら暴かずにはいられない。

『何やってんだ、こんな夜中に』
『あ、起きちゃった?』

むくりと体を起こしたニコルに特に驚くこともなく、ベアトリーチェはごめんごめんと小さく手を合わせた。そんなことどうでもいいよと言い捨てて、視線で質問の続きを促せばベアトリーチェはくふくふと小さく笑って手にしたものを見せつける。

『? なんだそりゃ?』
『星座盤と小型天体望遠鏡よ。今日は久しぶりに晴れたから』
『星なんて見てどうすんだ』
『どうもないわ、見て綺麗だなって思うだけ。強いて言うなら私のお仕事兼好きなこと』

そう言いながら目を伏せたベアトリーチェがいつもと違うように見えて、思わずニコルの心臓が跳ねる。いつものはつらつとした眩しさが、今だけどうにも柔らかい灯りのように感じて驚いたのだ。
落ち込んだわけではなく、どう見ても楽しみで仕方ないと言った風なのに雰囲気が違う彼女に驚いて、困惑する。

『ああ、そう。じゃああたしは寝直すとするから好きに、』
『ねえニコル』

一緒に見ない?
柔らかい笑みが、ニコルに向いた。



『はいどーぞ、コーヒーだよね?ミルクティーじゃなくてほんとによかった?』
『いつものでいいって』

湯気のたつマグを手渡されながら、ニコルは一口啜る。苦味と香りが口いっぱい広がりながら喉奥に滑り込んでいく感触にほう、と息をついた。隣ではいつの間に作ったのか、一人でハムサンドを頬張るベアトリーチェがいた。ぱちりと目があって、微笑まれる。それがなんだか気不味くて思わず目を逸らすが、ベアトリーチェが動いた音がしてまた彼女に視線を向けてしまう。

『うん、やっぱり今日はよく見える』

そう言いながら天を仰ぐベアトリーチェに、ニコルは言葉をなくした。

真夜中だと言うのに月が煌々と彼女を照らし、波打つ金糸に光を惜しみなく注ぐ。ランタンすら消しているのに、ベアトリーチェの周りだけ明るく見えた。いつだったか、ミサを行う教会に飾られたステンドグラスに描かれたマリアを思い出すが、それよりもベアトリーチェの方が実態を伴っていた。ニコルは、見たことがないものを信じない。だから実在する彼女の神聖さに似た何かを本物だと感じた。

純粋に綺麗だと思ったのは、いつ以来だ。

コーヒーではない何かを飲み込む。その音すら彼女の邪魔になりそうで、ニコルは思わず身を縮こまらせた。そして、腹の底にどろりと黒いものが滑り込む。

夜でも昼でも明るくて、人も疑わずただ笑っていられる彼女と、押し付けられた薄暗い過去からの、灰色の延長線を歩かされるだけの自分との落差に嫉妬した。押し付けられて、本当だったら変えられたかもしれないものまでずっと背負わされて、自分が探す人たちに会うまで自分は不安定のままで。

無性に叫びたくなった。彼女の髪を引っ掴んで引き倒して、力いっぱい殴りたい衝動に駆られた。静かな彼女の悲鳴を聞きたくなった。浅ましいのが自分だけだなんて思いたくなかった。

『ニコル、大丈夫』

柔らかい声だった。ニコルが思わず顔を上げる。ベアトリーチェは笑っていた。何もかもを許すと言った、高慢とも取れる目で。優しくて柔くて触れば壊れてしまいそうなのに、それでもベアトリーチェの方が強かに感じる。それはニコルの劣等感すらも宥めすかして行くようで、肩にかけられたタオルケットが呼応するようにずり落ちた。
それを拾ってもう一度ニコルの肩に掛けながらベアトリーチェはまた笑いかける。

『ニコルはニコルのままでいいの』
『……お前、あたしの何を知って』
『何も知らないわ。けど、ニコルったらずっと悩んでる顔をしてるんだもの。私じゃなくても分かっちゃうわ』

いつの間にかベアトリーチェの手にはカードの束が並べられていた。カンテラに光が入り、その手元を照らす。鮮やかにカード切って並べていく。紙が捲られる柔らかい音が静寂を止めていく。ニコルはその様子を眺めることしかできなかった。すい、と一枚のカードが目の前に差し出される。

『そのまま進んでニコル。大丈夫だから、星も数字もそう出てる』
『……なんだお前、シャーマンってやつか?生憎あたしは占いとかそう言うもんは信じない質でね』
『信じなくてもいいわよ、信じるものじゃないもの。結局占いなんて、数字の結果でしかない』
『だったら何で』
『私の占いは、背中を押すためのものだから』

ニコルだってどうしたいか、自分で分かっているんでしょう?
そう問いかけるベアトリーチェは笑っていなかった。とても真剣で、もしかすればニコルが初めて見た彼女の真顔なのかもしれない。
けれどもそれがどうしたっておかしく見えて、思わずニコルは笑ってしまったのだ。

『押されなくても、あたしは進めるってぇの』

そう、とベアトリーチェも笑った。



「すみまセーン!か、かご?かごままけん?に行くしたいデス。電車これ、あってるデスか?」
「かごましけん、だ」
「鹿児島県ですね」

駅員が苦笑しながら目の前の金と灰の頭を見る。外国人の対応は苦手なんだけどなぁ、という彼のぼやきは幸いにも目の前の二人には届いていない。だるそうな灰色と楽しそうな金色が印象的だな、とは思った。

「oh!そうデスそうデース!かごしま、けん!」
「わかる、した。よかったな。じゃ、ばいばい」

灰色が雑に手を振る。金色もそれに勢いよく返す。

『……――――』
『――! ――――!!』

最後に英語で何かを交わして、二人は別れた。義務教育以来英語など触っていない駅員は彼女たちが最後に何を言っていたのかはわからない。
けれども、良い旅なのだろうと思った。何故なら二人は笑っていた。金色は優しげに、灰色は呆れながらも微かに。そう、笑っていたのだから。

電車が走る。ニコルは東へ、ベアトリーチェは西へ。反対方向へ向かって進んでいく。畳む
小説
CoC「VOID」ネタバレあり。該当シナリオの後日談。同卓PCのお名前、及びよそ様の相方をお借りしています。
#CoC #VOID
幼気を縊る
蛍光灯が瞬いて、コンクリ質の壁に鈍く反射しているのに薄暗い。そんな拘置所は一昔も前の話だ。今は犯罪者との接見室も白に統一され、一定の明るさを保っている。その面会者側に潮は掛けていた。後ろには帽子を目深に被った相棒と、不安そうにしているアンドロイド課暫定班長が立っている。

不思議な感覚だと思う。本来ここに座るのは潮ではなく伊智か玲斗、つまり人間であってアンドロイドである自分ではないはずなのだ。立場が逆になっている。
奥の、強化ガラスの向こう側。その扉が開く。
人間の担当官の後ろから、有馬真二が姿を見せた。





有馬が潮との面会を希望している。不安そうに玲斗が潮と伊智にそう告げたのは半月前の事だ。あの事件の詳細は、世間には隠匿されている。それもそうだ、リボット社のアンドロイドは警察だって利用しているのだ。その社長が起こした事件による、警察へのイメージダウンを恐れて重要な部分は隠蔽されている。当然、当事者のアンドロイド課にも箝口令が敷かれていた。その処理に追われている中での事だった。

「俺としては…反対なんだけど。でも上層部はあわよくば潮に有馬真二の技術を引っ張り出させたいみたいでさ」

ごめん、抵抗しきれなかった。申し訳なさそうに謝る玲斗に構わないと告げる。はて、その時自分はどんな感情を抱いたいのだろうか。

「潮」

ふと隣を見たら帽子の鍔が映り込む。伊智が心配そうな、憤っているような、そんな微妙な顔で俺を見た。

「大丈夫だって。流石に丸腰だろうからさ。前みたく銃口を向けさせたりなんて出来やしないと思うし」

自分で言って、冷たいものが背中に走った、気がした。気がするのはこの体はもはやセンサーを切り替えなければ悪寒すら感じ取れないものになっているからだ。それでも確かに、そう感じた。”有馬潮”として。
またぞわり、とそれが背中を落ちる。雑音になりそうな思考に蓋をして潮は有馬との面会に応じた。




老けたな。強化ガラス越しに見る有馬を見た潮の感想はそれだった。夏央を取り込ませた機械の神の隣で立っていた時より狂気はなりを潜めているが、落ち窪んだ目には深く影を差している。艶を無くした白髪が不気味さを助長させていて、いっそ哀れだと思った。
機械の存在の潮ですらそうなのだから、背後に立つ人間二人はそれ以上に感じるだろう。伊智が息を呑む音がする。それを留意事項に留めておきながら潮は改めて目の前の男と向き合った。

視線が合う。絡む。その瞬間ぎょろりとした目が少し優しげに歪んだ。

「潮、調子はどうだ? 身体はどこも、痛くないかい?」

その言葉に搭載された演算機能は素早く「正気ではない」という答えを叩き出した。しかし、感情が確かな記憶を伴って揺れる。

『潮、調子はどうだ? ……すまない、仕事でちゃんといてやれなくて。痛い所はないかい?』

心臓が弱くてよく寝込んでいた潮に、頭を撫でながら不器用に温度をかたむけていた時の。
リフレインする記憶を無理やり蓋をする。勤めて自分はアンドロイドだと言い聞かせる。

「修繕とメンテナンスは済ませてある。問題はない」
「そうか。よかった……所で、夏央は?伊智くんは? 今日は一緒に遊んでいないのかい?」

言葉に詰まる。それ以上に機械すら焼け付くような衝動が口から出そうになった。なんとか押し留めているそれは確実に潮を焼いている。燃えている、とは少し違う。煮えたぎって尚、尽きないような。そんな衝動を呑み込む。
今は、有馬との会話を続けるのが最優先だ。そう言い聞かせる。

「伊智は今日、用事でいない。夏央は……シロウの散歩に出てるよ。俺は留守番だ」
「そうか、会えなくて残念だ」
「……用って、なんだ。会いたいと聞いたから来たんだが」
「そうなんだよ、お前にとっても朗報かもしれないんだ。できたんだよ、傑作とも言えるアンドロイドが」

有馬の顔が喜色に染まる。潮は不愉快で仕方なかった。あれだけのことをして、奪って、壊して、掻き乱したこの男が、自分だけ一番幸せだった時に戻っている。

あの時、殴り殺しておけば良かったか。

そうすれば自分が敗北した瞬間で終わらせてやったのに、とらしくない、物騒なことを考えている自分を自覚できないまま有馬の話は続く。どうやら技術のことを話しているらしく、断片的ではあるが、最新型の、潮のボディの詳細を話しているらしかった。
らしかった、と言うのは音声データとして記録はしているが、潮自身この話に興味がなかったからだ。興味がないと言うか、理解できないというか。背後で玲斗の小さな声が聞こえている。どうやら彼には内容がわかるらしい。それもそうだ、潮をメンテナンスしているのは玲斗なのだ。実際見て触っているのだからこの場にいる誰よりも精通している。

「だから、もうすぐだ。もうすぐ走れるようになるからな、潮」

瞠目した。本来アンドロイドにはない仕草だ。しかし、確実に潮は動揺した。
なんて言った、この男は。
聞き返すこともできないまま有馬を見る。その瞳は狂気に染まりきって現実を見ていない。けれども表情は、声音は、父親のそれだった。家族に向ける、愛情だった。

「お前、サッカーがしたいと言っていただろう? それに、シロウの散歩も。夏央とはプールに行きたいと言っていたし、伊智くんとは絵を描きに公園へ行ってみたいとも言っていたじゃないか」
「……ぁ」
「大丈夫、大丈夫だ。叶うから、叶えてあげるからな。潮」

この男は狂っている。わかっている、理解だってしていて、まともに取り合う必要は無い。それでも傾けられた感情は間違いなく暖かいもので、倒錯しているが本物で。
割り切ろうと、振り切ろうとしている、のに。

ガタン、と音がした。我に返って振り返ると玲斗が伊智を抑えている。荒い呼吸音が響いている。思わずバイタルを取ると酷く興奮しているのが分かった。
無言で立ち上がった潮に、玲斗がもういいんですか、と問う。もういい、これ以上は無駄だと吐き捨てた。

「? 潮、どうしたんだい? 何処へ」
「っお前が……!!」
「伊智」

激昂しかけた伊智の腕を強く掴んで制止する。なんで、と言いたげな伊智の視線を受け止めながら潮は少し逡巡する。

「……俺、今走れてるよ。お父さん」

それだけ告げて、伊智を引き摺って接見室を後にする。そうか、良かったと響いた柔らかい声は聞かなかったことにした。



「潮、おい、良いのかよあれ!」

引き摺られている伊智が噛み付いた。何が、と億劫に返した潮に少し言い淀む。

「……あんなの、逃避だろ?あれだけのことしでかして、黄海さんも、俺のお父さんとお母さんも、赤星兄さんだって……」
「それについてはもう殴ってある。終わった話だよ」
「終わったって、お前、有馬の行動で黒田さんが、お前だって!」
「……」

伊智が何を言いたいか、何となくわかる。有馬は狂うことで逃げたと言いたいのだろう。全てを巻き込みながらも遂げられなかったと言う現実から。お前は許せるのかと、伊智は言いたいんだろう。
彼はきっと、許せないんだろう。それでもいいと潮は思う。その権利が、有馬を憎む権利が彼にはある。
ただ一人、理不尽な憎悪を向けられて何もかも失っている。それは潮とて同じだが、失ったものに決定的な違いがあった。

伊智は大切な人たちを失った。潮は自分の命と時間を失った。その差異は、限りなく大きい。

だからなのだろうか。有馬を殴ってからはあの男を薄気味悪いと思いこそすれ憎悪はわかなかった。有馬潮がそうなのか、人の為の機械になってしまったからなのかは、分からないが。

「……潮?」

不安そうな伊智の声にはっとする。物思いに耽って相棒に応えない機体が何処にいる、と嫌悪してからなんともないから、と伊智から距離を取る。

「えっ、ちょ、何処に……」
「席を外すよ、仕事はもう終わったろ?」
「なら俺も……」
「少しだけ一人にしてくれ」

レミに位置情報は送っておくし、回線は開いてるから。何かあったら呼んでくれ。
それだけ告げて潮は踵を返す。背後で伊智と玲斗の声がする。聞こえていない振りをした。



二人から離れた潮が居たのは、夏央の墓前だった。時代や科学がどれだけ進もうとも故人を憂い尊ぶ心というものは人から消えることは無いらしい。最も、葬儀や手続きの大部分はデジタル化され、住職の仕事も機械に取って変わっている。その中でも唯一、墓というものは形として残っている。それもまあ、かなり形骸化されて来てはいるが。

墓石に刻まれた姉の名前を見る。そこには犬型ロボットが丸くなって停止している。
あの戦いの後、夏央の遺体に寄り添うようにこうなっていたらしい。その後どれだけ修復しても、燃料を足しても動かなかった。まるで拒絶するかのように。

そんな様子を眺めながら、制服のポケットからガラクタを取り出した。
レンズが割れて、フレームが歪んでいるメガネ。夏央のものだったそれはゴミと言って差し支えない。捨てるべきものだ。手元に置いておくなんて、非合理がすぎる。

けれども、潮はこれを手放せないでいる。


有馬の話を、伊智の言葉を、動かなくなったシロウを、夏央の死に目を思い出す。湧き上がる感情に名前がつけられないままだ。

同時に思う。これは本当に俺の感情か?と。
有馬潮の記憶を後付けされただけのアンドロイドが、感情を謳っているだけなのではないか。陽凪の様に感情学習機能がある訳でもない。それもそうだ。死にかけた有馬潮の依代になっただけの機械なのだから。

目の前の墓に視線を向ける。そこにあるのは夏央の名前だけ。有馬潮の記載は、どこにも無い。

記憶があるのに、存在していた証明が出来ない。はっきりしているのにあやふやで、形があるのにそれを自分だと言いきれない。

伊智のクレヨンを折ったのは。
そのクレヨンを夏央と一緒に買って返したのは。
画面に映る母と笑いあったのは。
父に外で遊びたいと、願ったのは。

間違いなく潮なのに、どこにも「俺」を見つけられなくて。

俺は本当に居たのかな、なんて。

「……なつ姉、俺、本当になつ姉の弟だった?」

答えは無い。何もかも明確にならないまま潮は踵を返す。答えが欲しい。俺はなんなのか。

当面は廃棄処分されないように、また有馬のような悲しみにくれないように。

人間たちへの心象を良くするために、愛嬌を撒いておこう。スパローへ行った二人には親しみが湧きやすいようにアンドロイドらしくなく居よう。伊智は俺でもいいと言いながら「有馬潮」を求めているから、それをなぞろう。

せめて、せめて今。ここにいる「俺」が、壊されないように。昔のことがぐちゃぐちゃて不明瞭で、それでも今ここに有るのは、間違いないから、だから。

否定、しないで。どうか。お願い。望む形でいるから。そういう形でいるから。楽しいねって、思って貰えるように。そうやって動くから。
ここに居させて。



軋む稼働音の合間に、ごめんねと今はもう聞けない声が響いた気がした。畳む
小説
CoC「黒幕が如く!」ネタバレあり。該当シナリオ後日談。よそ様のキャラクターをお借りしています。
#CoC #ネタバレ
つみかさね

目の前の小さな箱の中から聞こえる断末魔をつまらなさそうに聞きながら、芳は何もないところから異形のフィギュアを引っ張り出す。それを無造作に箱の中に放り込めばそれは中にいるものにとっての致命的な敵対者となり、圧倒的捕食者として非捕食者と成り下がった者を食い荒らした。

「精が出ますね」

仕切られた箱の隅に飛び散る血を眺めていると背後から声がかけられる。この数週間で幾分と聞き慣れた声に振り替える必要も感じず、箱を眺めたまま芳は薄ら笑いを浮かべた。

「まあな。ただ最近ボキャ貧やわ」
「そう言う割には律儀に皆殺しではありませんか」
「後出しで負けるジャンケンがあるやろか?」

その言葉に声の主がそれもそうだ、と心底楽しそうに笑う。彼はぽん、と芳の肩に手を置いた。吐息が耳に掛かる。ともすれば唇が触れそうな位の距離で男は芳に囁いた。

「本当に貴方は良い拾い物です。我が後継が天職なほどだ」
「お褒めに預かり光栄やわ、元祖様?」
「心は痛みませんか?」

気を使うような言葉だった。だがそこに一切の感情はない。ただ時々芳を揺さぶりたいのかこの男は唐突に芳の倫理観が一般からかけ離れているぞ、と暗に小馬鹿にしてくる時がある。最初こそ腹を立てたが今はそれすら可愛いと思えてしまうのだ。

「傷んだら、癒してもらえるやろか?」
「まさか」
「せやろ? そもそもほんまに痛むと思うてます?」
「それこそまさか、ですよ」
 くつくつと、混じり気なしの低い笑い声がふたつ。黒い空間に溶けて消えた。

 *

「芳、あのガングロ野郎に関わるのやめろ」

唐突だった。ウィリアムも小桃も、子供たちや嘉人もおらず明彦と二人きりという珍しい日だった。太陽が一番高い所から落ち始めた頃に起き出した芳を見るなり開口一番明彦がそんなことを言い出した。威圧的とも取れるその声音と言葉の意味に呆けていた頭がじわじわと覚醒する。

そして芳は自分の機嫌が急降下するのを自覚した。

「……俺の人脈にケチつけるんか。俺の顧客から仕事取っておいて、ええ根性やないか」
「ああ、あいつに関してはクレーム入れさせてもらう」

少し脅かせば目の前の子犬のような不良は引っ込むだろうとたかを括っていた芳は、しかし食らいついてきた明彦に面食らう。明彦は忌々しい、と心配を入り混ぜたような複雑な顔をしていた。それ以上に赤い目が芳を真っ直ぐ見ていたのがなんとなく居た堪れなくて芳の方から目を逸らしてしまった。その事実に釈然としないまま頭を通さず言葉を放り出す。

「なんや? お友達でもいじめられたんかいな。それやったらそういうんやめたれってお願いしといたろか? それやったら俺が誰とお付き合いしようが明彦には関係あらへんやろ」
「その台詞、あいつが人間じゃないってわかって言ってんのか。あいつは芳が、つか人間が関わって良いもんじゃない。あんたあいつに思ってるより軽く見られてんだよ。どうせ玩具だと思われてる。さっさと関わるのやめろ」
「は、何を言うてんの。そない妄想は卒業せんと痛いで」

なんだ。なんで俺は責められているんだ。

芳はわけがわからなかった。いつもなら明彦と口論すれば口八丁が十八番の芳が地団駄を踏む明彦を丸め込んで終わりで、今回もそなるはずだったのだ。なのに明彦は至極冷静に正論を返してくる。

そう、正論を。

「今一番痛いのはお前だよ」

正論、を。


言葉の意味を理解する前に芳は思わず明彦に殴りかかった。自分が沼男だということも頭から抜けて、触れば明彦を沼男にするということも考慮せず、ただ黙らせたくて殴りかかる。だが明彦はそれを分かっていたと言わんばかりに避ける。修羅場の数は芳のが潜っているだろう。しかし現場に出て、時折荒事もこなしている明彦のが自分の体の使い方を分かっていた。芳が勢いよく床に倒れ込む。

明彦に、自分より格下に見下ろされている。面倒を見てやっているものに、自分より下の存在に。
思わず部屋を呼び出しそうになった。
明彦の失望したような表情は見ないふりをして、自分にできる最大を持って排除しようとして、そして。

 *

断末魔が上がる箱を、芳はただつまらなさそうに見ていた。血飛沫が上がる。肉片が飛び散る。最後まで生きたいと視線を彷徨わせるその瞳が濁る瞬間を見る。

「あの子供も放り込んで仕舞えば良かったのに」

つい先程姿を消した男はやれやれと肩を竦めてそういった。芳は明彦をこの箱に入れなかった。我に帰ったからではない。無抵抗の明彦の間に割って入った白い毛玉の生き物に邪魔されたからだ。触手のような尾をバシン、と床に叩きつけながら唸りを上げるその小さな生き物に芳は正気を引き戻される。それを抱えながら明彦がボソリと呟いた。

『戻って来れなくなる前にどうにかしろよ』

そこから明彦とは会話をしていない。というよりもその真っ直ぐさがあまりに忌々しいと感じてしまい直視できなくなった芳から避けているのだ。明彦は何か言いたげにしているがそれにも気づかないふりをして。

もう一人、可哀想な人間を放り込む。悲鳴。血飛沫。断末魔。倒錯。迷走。発狂。明彦の言葉が薄れていく。

(こんなん、やめれるわけあれへんやろ)

他人を掌握する全能感に、芳はとっくの昔に戻れなくなっていたのだから。畳む

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