小説 2025/01/21 Tue ソード・ワールド2.5 アイジュネ#ソドワ #うちよそ 続きを読む無辜にして、強欲「ジュネ殿」中性的な声に一瞬びくりと体が跳ねる。これは彼女に呼ばれたからではなく、誰かに呼ばれると自然と驚いてしまうから許してほしい。名前を呼ばれて、その後に続く行為への連想がどうしても止められない。思わずフードの端を引っ張って顔を隠す。「……」取り合えず立ち止まって振り返る。案の定、そこにはフルアーマーを装備した冒険者がいた。一度だけその顔を酒場で見たことはあるけど、あれ以来見ていない。興味もないから見たいとも思わないし。「今度、大規模な魔物の掃討作戦が都市から降りたらしい」「……知ってる。受けた」「そうか、なら今度も組んではもらえないだろうか? まだ貴殿以外の既知はいないし、もう少し戦い方を参考にしたい」「……臨時パーティーなら、他にも」「貴殿だと安心なんだ。無理にとは言わないが」そこまで言われると、何となく断りづらい。「準備、しておいて」ああ、わかった。協力に感謝する。その声が何となく嬉しそうに聞こえた気がして、余計わからなくなる。なんで俺なんだろう。*(……わけわかんないって、思ってたんだけどなぁ?)久々に見た夢はアイラと知り合ってまだ間もない頃のことだった。どうして自分なのかわからなくて、今思うと結構失礼なことを言ったりしたりした気がする。隣で俺を抱きしめながら寝てるアイラを見る。ふにゃふにゃしてて、ちょっとだけよだれが出てる。それがなんだかかわいくて思わず笑ってしまった。今一緒にいるのは、きっと刷り込みのようなものなんだろうなとは思う。俺(ナイトメア)に対して、変な偏見なく、弱っているのだからこの家の物を持ち出すなんて簡単だっただろうに、それもしないで俺の看病なんてして。俺が一番してほしかったことをしてくれた。その後風邪を移してしまって彼女も寝込んだんだけど、その間に一緒にいてそれが当たり前に感じた。彼女からそろそろ帰らなきゃなんて言葉が出たときは……怖かった。そう、怖かった。俺のことを唯一認めてくれた彼女が離れていくことが。だから引き留めた。俺の為だけの安全地帯に彼女を閉じ込めた。それについては、少しくらいの罪悪感はある。でも、そんなことよりも彼女と過ごせることの方がうれしい。いいじゃないか、世界から嫌われているんだから。人目のつかない端っこで、好きな人を閉じ込めるくらいの幸せが俺にもあったって。アイラは俺をかわいいっていう。正直複雑に思いもするけど、アイラがそういうなら俺はそれでいい。ずっとアイラの為のかわいいジュネでいよう。そうしたらきっと、アイラもここから離れてなんていかないはずだから。垂れてるよだれを起こさないように拭く。口がもにゃもにゃ動いて起こしちゃったかなと思ったけどそうでもなさそうで一安心。俺の前で安心して起きることもしない。そうだよ、ここは安心できるんだ。息ができるんだよ。ここだけだよ、アイラ。安心できるのは。「アイラ、かわいい」俺の幸せ。かわいいアイラ。どこにも行かないで。めいっぱい幸せにして安心させてあげるから。今自分がどんな顔をしてるかなんて、知らないな。畳む
#ソドワ #うちよそ
無辜にして、強欲
「ジュネ殿」
中性的な声に一瞬びくりと体が跳ねる。これは彼女に呼ばれたからではなく、誰かに呼ばれると自然と驚いてしまうから許してほしい。名前を呼ばれて、その後に続く行為への連想がどうしても止められない。思わずフードの端を引っ張って顔を隠す。
「……」
取り合えず立ち止まって振り返る。案の定、そこにはフルアーマーを装備した冒険者がいた。一度だけその顔を酒場で見たことはあるけど、あれ以来見ていない。興味もないから見たいとも思わないし。
「今度、大規模な魔物の掃討作戦が都市から降りたらしい」
「……知ってる。受けた」
「そうか、なら今度も組んではもらえないだろうか? まだ貴殿以外の既知はいないし、もう少し戦い方を参考にしたい」
「……臨時パーティーなら、他にも」
「貴殿だと安心なんだ。無理にとは言わないが」
そこまで言われると、何となく断りづらい。
「準備、しておいて」
ああ、わかった。協力に感謝する。
その声が何となく嬉しそうに聞こえた気がして、余計わからなくなる。なんで俺なんだろう。
*
(……わけわかんないって、思ってたんだけどなぁ?)
久々に見た夢はアイラと知り合ってまだ間もない頃のことだった。どうして自分なのかわからなくて、今思うと結構失礼なことを言ったりしたりした気がする。
隣で俺を抱きしめながら寝てるアイラを見る。ふにゃふにゃしてて、ちょっとだけよだれが出てる。それがなんだかかわいくて思わず笑ってしまった。
今一緒にいるのは、きっと刷り込みのようなものなんだろうなとは思う。俺(ナイトメア)に対して、変な偏見なく、弱っているのだからこの家の物を持ち出すなんて簡単だっただろうに、それもしないで俺の看病なんてして。俺が一番してほしかったことをしてくれた。
その後風邪を移してしまって彼女も寝込んだんだけど、その間に一緒にいてそれが当たり前に感じた。彼女からそろそろ帰らなきゃなんて言葉が出たときは……怖かった。
そう、怖かった。俺のことを唯一認めてくれた彼女が離れていくことが。
だから引き留めた。俺の為だけの安全地帯に彼女を閉じ込めた。
それについては、少しくらいの罪悪感はある。でも、そんなことよりも彼女と過ごせることの方がうれしい。
いいじゃないか、世界から嫌われているんだから。人目のつかない端っこで、好きな人を閉じ込めるくらいの幸せが俺にもあったって。
アイラは俺をかわいいっていう。正直複雑に思いもするけど、アイラがそういうなら俺はそれでいい。ずっとアイラの為のかわいいジュネでいよう。そうしたらきっと、アイラもここから離れてなんていかないはずだから。
垂れてるよだれを起こさないように拭く。口がもにゃもにゃ動いて起こしちゃったかなと思ったけどそうでもなさそうで一安心。俺の前で安心して起きることもしない。そうだよ、ここは安心できるんだ。息ができるんだよ。ここだけだよ、アイラ。安心できるのは。
「アイラ、かわいい」
俺の幸せ。かわいいアイラ。どこにも行かないで。めいっぱい幸せにして安心させてあげるから。
今自分がどんな顔をしてるかなんて、知らないな。畳む